中野 俊樹
教授
nakanot*tohoku.ac.jp(*を@に換えてください)
出身地:秋田県(秋田高校)
研究内容
1.成育環境が魚類に及ぼす生化学的な影響評価とその応用
気候変動、疾病、化学物質などが複合した環境ストレスは、漁獲量や養殖生産性そして品質に影響します。その影響を遺伝子、細胞および個体レベルで検討し、魚類体内で誘導される環境由来ストレスの多くが酸化ストレスであることを明らかにしました。これらの成果は健康な養殖魚の育成と品質向上への応用が期待されます。
2.水産物の生理活性物質の解明
脂溶性色素カロテノイドの一種アスタキサンチンはサケ筋肉の赤色源ですが、そのものにストレスによる魚類の組織傷害と品質向上の効果があることを明らかにしました。さらに、その関連総説をオランダ・ワーゲニンゲン大学の教授と発表しています。また、海藻より作出したペプチドに血圧の降下・正常化作用を発見し、サプリメントとして商品化されています。
3.水産物の品質等に関わる新規評価法と加工法の開発
新型バイオセンサにより採血を伴わず非侵襲的かつ遊泳状態でリアルタイムに魚類のストレスを見える化しました。また、理化学研究所SPring-8の放射光X線CTにより非破壊的に水産物成分を可視化し、水産物におけるナノレベルの品質評価の可能性を示しました。さらに、新規の電磁波周波数を応用した水産物の加工法や高品質解凍法の開発にも取り組んでいます。
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横山 雄彦
准教授
takehiko.yokoyama.c7*tohoku.ac.jp(*を@に換えてください)
出身地:東京都
研究内容
1.魚介類・藻類のアミノ酸
真核生物でごく普通に認められるL-アミノ酸には鏡像異性体が存在しD-アミノ酸と呼ばれています。真核生物では稀な物質とされていますが、免疫組織化学染色によってヒジキのD-アスパラギン酸が維管束植物の師管に相当するヒジキ中心部の細胞質ゾルに局在していることを植物の細胞レベルで初めて明らかにしました。
2.生化学的分析法の開発と改良
タンパク質構成アミノ酸の光学分割分析は鏡像異性体を含めると40種類以上になり、これらを一斉分析しようとすると数が多いため分離が極めて困難です。それに対して2種類の蛍光誘導体化試薬を併用したHPLC分析法を考案し、アミノ酸の一斉分析が可能となる光学分割分析法を確立しました。
3.元素分析による生化学的品質評価
サクラエビは世界中で駿河湾と台湾の2カ所でのみ商業的漁獲が行われています。最先端の分析機器である結合誘導プラズマ質量分析(ICP-MS)を用いて、駿河湾産と台湾産サクラエビの産地判別法を提案しました。
4.魚介類の鮮度・うま味成分
魚介類の鮮度を表す指標にはATP関連化合物を用いたK値が用いられています。筋肉に多く含まれているATPは死後、自己消化によってうま味成分であるイノシン酸に変化します。ATP関連化合物のひとつであるイノシン酸の他に、3大うま味成分であるグアニル酸の同時分析法を開発しました(未発表)。
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芳賀 和生
技術補佐員
出身地:岩手県


落合 芳博
特任教授
yochiai*tohoku.ac.jp (*を@に換えてください)
出身地:神奈川県
研究内容
1. 魚貝類筋肉タンパク質の生化学的および食品化学的特性に関する研究
筋肉タンパク質の主要成分(特にトロポミオシン)の安定性やアレルゲン性について研究を進展させ、筋肉の簡易処理によるトロポミオシンの除去法を確立する。ミオグロビンの酸化機構についても、組換えタンパク質や分子動力学シミュレーションにより、分子レベルの挙動を明らかにする。一方、魚肉すり身の加工時におけるタンパク質成分の挙動、さらに製品の物性改善のための至適条件を明らかにする。
2. 未利用水産資源の有効利用と品質改善に関する研究
各種深海性魚類、水産加工品について食品学的性状や加工最適条件を明らかにすることを目的とした成分分析を行い、特徴づけを行う。また、マグロ等の加工残渣からコラーゲン、ゼラチンおよびペプチドを調製した上で、特性ならびにハードカプセル素材としての適性評価を行う。輸出向け赤身魚肉の品質評価法の改良に関する研究も実施中。